強度・弾力性を失った皮膚の改善を目的とする自家多血小板血漿(PRP)療法【ダーマペン/MPガン】

P R P（多血小板血漿療法）とは

血小板は血液に含まれる成分の一つで、止血に重要な役割を果たします。傷ができて血管が破れると、血液中に存在する血小板が集まってきて血管壁を塞ぐとともに、血小板に含まれる増殖因子と呼ばれる成分が放出され、傷の治りを促します。

多血小板血漿療法とは、この血小板に含まれる様々な増殖因子を利用して、組織の再生や傷の治りを促す治療です。1990年代に歯科口腔外科領域でその有用性が見出されて臨床応用が進み、他科の領域にも適応が拡大されてきた、比較的新しい再生医療となります。

現在、美容医療や抗加齢医療の分野でもPRPを用いた治療は盛んに行われており、小ジワの改善やボリュームを出す治療などに使われています。血小板から放出されるE G F（上皮増殖因子）などの増殖因子が、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチンなどを作り出す細胞である線維芽細胞の増殖を促し、さらに線維芽細胞がこれらの物質を産生するのを強力に促進することにより、肌の弾力性やボリューム低下を改善させ、肌にハリを生み出すとされています。

当院におけるPRP療法 – ダーマペン/MPガン

当院におけるPRP療法の実際についてご説明します。

PRP療法は患者様ご自身の血液より作成いたします。必要量に応じて採血を行い、血液を遠心分離にかけ血小板を濃縮、抽出します。

作成したPRPを肌に入れていく方法としては、当院では主にダーマペンを利用したものと、MPガンを利用した注入法の二通りを行っております。

ダーマペンでお顔全体の皮膚に細かな穴を開け、PRPを塗り込んでいく方法は一般的にヴァンパイアフェイシャルと呼ばれ、MPガンによる治療に比べると内出血などのリスクが少なく、短いダウンタイムでの治療が可能です。

一方、お悩みに応じてヒアルロン酸やボトックスなどとともにMPガンという機械でシワや肌のハリの低下が気になる部位に細かく注入していく方法は、メソセラピーと呼ばれる治療で、ダウンタイムは長くなってしまいますが、ヴァンパイアフェイシャルに比べて高い効果を得ることができます。MPガンは薬剤を高速で一針ずつ一定の深さに注入していく機械で、同様の注入手段である水光注射に比べると、目元、口元など水光注射では注入が難しい細かな部位にも注入していくことができます。

また、水光注射に比べて薬剤の液漏れが少なくしっかり組織に入るため、より高い効果を得られるというメリットがあります。

現在、幹細胞培養上清液やエクソソームなど様々な再生医療が存在しますが、PRPは自分の血液を原材料とするため、アレルギー反応や未知の感染症などのリスクを心配する必要がなく、そういう意味において安全性の高い治療といえます。

本症例はPRP、ボトックス、ヒアルロン酸の混合液をMPガンで肌に細かく注入した症例です。施術後2週間頃から肌のハリやツヤを実感することができます。

当院で行っている幹細胞培養上清液による治療、自己真皮線維芽細胞の移植について

当院で他に行っている再生医療としては他に幹細胞培養上清液による治療や、自己真皮線維芽細胞の移植があります。

幹細胞培養上清液は、幹細胞を培養する際に得られる副産物の培養液なのですが、ここにたくさんの増殖因子が含まれており、点滴したり肌に注入したりすることで様々な全身症状の改善や肌のハリの改善が期待できます。また細胞成分を含まないため、他人の細胞由来の培養上清液を使用することができ、自分の細胞を採取する負担がなくできる再生医療であることも特徴です。

真皮線維芽細胞は真皮に存在し、前述したようにコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸など、真皮を構成する主要三成分を作り出す細胞ですが、20歳頃をピークに加齢とともにどんどん減り、この結果肌のハリが失われていきます。

この皮膚のハリを作り出す元となる線維芽細胞をご自分の皮膚（真皮）から抽出、培養して増やし、再び皮膚に戻す治療が真皮線維芽細胞移植です。増やした線維芽細胞は専門施設において長期間にわたって冷凍保存することが可能なため、若い頃に採取した線維芽細胞を将来的に繰り返し補充することができるわけです。肌のハリやシワ改善の効果とともに、老化の進行を抑えることができるため、この治療は現時点で最も効果の高い肌の再生医療と考えられています。

当院ではPRP、真皮線維芽細胞、幹細胞培養上清液などの再生医療に加え、レーザー治療、スレッドリフトのような美容皮膚治療、手術による美容外科治療まで、幅広い治療をお受けいただくことが可能です。患者様のご要望に応じて最適な治療の組み合わせをご提案させていただきます。