PRP-FD治療、脂肪由来幹細胞(ASC)を用いた変形性関節症治療について
更新日:2023年11月2日
当院で行なっている再生医療は、主に2種類(PRP-FD療法とASC療法)あり、適応する疾患や疾患の進行具合に違いがあります。
PRP-FD療法
一つ目にPRP-FD療法を説明致します。
血液に含まれる血小板が放出する成分で、損傷した組織の修復を促す働きがあります。この細胞修復成分を濃縮、活性化させて、細胞を全て取り除いて無細胞化させたものを患部に注入する事で、関節内での構造物の再生と痛みの軽減が期待できます。
PRP-FD療法の実際ですが、患者様の血液を50ml採取させていただき、炎症を抑えたり、組織の再生を促したりする物質だけ取り出してフリーズドライにすることで粉末にし、それを身体に戻す時に溶液に溶かし患部に注入致します。注入後約2週から4週で効果を感じるようです。
PRP-FDは比較的進行具合の少ない変形性膝関節症に勧める事が多い状況です。最大のメリットは採血50mlするだけですので、患者様の負担はだいぶ軽いところです。
当院でPRP-FDを受けた患者様は、約2から4週で今までヒアルロン酸治療では痛みがおさまらなかった痛みが軽減してくることを実感していただけるようです。
ASC療法
二つ目にASC療法をご紹介いたします。
まずASC療法とは脂肪由来幹細胞治療を意味します。
この幹細胞ですが、1つは「多分化能」といい、他の組織に変化する力があり、脂肪由来の幹細胞は骨や軟骨、筋肉や血管などの組織に変化できると考えられています。
もう1つの力は「自己複製能」で、自らの分身を生み出す力です。
脂肪由来幹細胞(ASC)療法では、脂肪組織から採取した幹細胞が持つこれらの力を損傷部位に活用します。
ASC療法の実際ですが、腹部の皮下脂肪を約10から20ml採取させていただき、その脂肪組織の中にある多分化細胞を数千万の細胞数まで増やして、その細胞を患部に注入するという治療です。ASC療法は人工関節手術が必要な患者様には適応いたしません。ただ比較的進行した変形性膝関節症の患者様におすすめします。具体的には2週から4週に1回ヒアルロン酸を1から2ヶ月、関節内に投与しても、痛みが取れてこない患者様に適応しています。
ASC療法の最大のメリットはやはり痛みが取れる割合が高いこと、軟骨や半月板が修復される事です。
デメリットは局所麻酔により腹部を麻酔して、脂肪組織を採取する小さな手術をしないといけない点です。
当院では10例以上のASC療法を施術させていただき、
- 比較的進行した変形性膝関節症の男性に行ったところ、注入後3か月で、痛みはほぼ消失しました。
- 大腿骨遠位部骨壊死の女性で、歩行困難であった症例が、疼痛の消失、歩容の改善を認めました。
- アスリートでバトミントンをされており、変形性膝関節症と半月板損傷をともなっていた症例で、注入後4ヶ月目から復帰、痛みが消失されています。
ASC療法では効果が感じられるまで、約3ヶ月程度必要な印象を持っています。
当院では、基本的には保険診療内でできる治療を行った上で、希望される患者様に再生医療を行っております。
再生医療自体は効果がある事は間違いないと考えていますが、やはり値段が保険に比べて高額にはなってしまいますので、全員が受けられる治療ではないかも知れません。
しかし、当院では手術が必要な患者様には、手術を、保存治療が必要な患者様には徹底した保存治療を行っています。
是非ご相談お待ちしています。