PRP（自己多血小板血漿)を用いた薄毛治療

毛髪は、外見上目立ち人の印象を大きく左右する部分であり、男女問わず様々な理由で薄毛を発症すると自信を失う方も多いです。しかし、同時に人に相談しづらい悩みであり、薄毛治療は美容医療の重要な治療領域の1つです。

薄毛治療には、大きく分類して、頭皮注射療法、内服療法、外用療法、植毛、ヘアラインアートメイク、かつら着用、の6つがあります。そのうち、頭皮注射療法のひとつである、自己多血小板血漿(PRP)を用いて、発毛を促す薄毛治療について解説させて頂きます。

PRP（自己多血小板血漿）とは

多血小板血漿(Platelet Rich Plasma, PRP)は、血液から抽出して得られる血小板と、そこに含まれる成長因子を豊富に含む成分で、FGF-2、VEGF、BMP-2,、Wnt5a等の遺伝子発現を増加させて、血管新生や組織修復を促進する事で知られています。

毛髪のもととなる、毛包幹細胞・毛母細胞・毛乳頭は、皮膚（真皮）の中に「毛包」と呼ばれる鞘に包まれた状態で埋まっており、生まれる前に作られた以降は、減る事はあっても増えることはありません。PRPはこの毛包の萎縮を抑制し、刺激活性化することで、発毛を促します。

メリット

患者様ご自身の血液を用いて治療するため、未知、既知の感染症や免疫拒絶反応等の副作用のリスクなく安全性の高い治療です。

デメリット

毛包を再生することは出来ないため、毛包損傷がおこり、毛包が失われた薄毛では効果が得られません。

〜毛包損傷の原因〜

• やけどなどによる外傷
• 抜毛症（自分で繰り替えし毛髪をひっぱって抜く病気、多くはストレス性か自傷行為）
• 牽引性脱毛症（ポニーテールなどのヘアスタイルで、強い力で長期間にわたり繰り返し髪の毛を引っ張る力が生じておこる現象）
• 長期間が経過して進行したため毛包の萎縮喪失が著しい脱毛症

治療の実際

1. 問診で 現在までの薄毛進行の経過や、既往歴を伺います
2. 頭皮・毛髪・頭皮周辺の顔面や首の皮膚の状態を、ダーモスコピー等を使用して観察させていただき、毛髪密度 ならびに 毛髪の毛径をはかります
3. 治療の適応を検討します（毛包が失われている脱毛状態の場合、治療の適応がありません。甲状腺機能障害・副腎機能不全・貧血・亜鉛不足が疑われる場合、内科治療を先行します。）
4. 専用の採血管を用い患者様の血液を10〜30cc採血します
5. 即時に血液を遠心分離し、専用の資材を用いPRPを採取します。
6. 採取したPRPを30〜32Gの針を用いて、薄毛部位の頭皮の真皮層に注入します。注入に要する時間は10〜15分です
7. 出血の様子などを観察して治療は終了です

痛みには個人差がありますが、多くの場合痛みは少なく自制内です。また注入箇所を冷却しながら施術を行うことで、痛みは最小限に抑えられます。

施術当日の制限は、過度の飲酒・長風呂やサウナをひかえていただきます。洗髪は施術当日から行えますが、当日はシャンプー剤やくしを使用せず水洗髪で、翌日からは通常通り洗髪可能です。

多くの場合、治療直後から注射による頭皮の違和感は消失しますが、稀に2〜3日違和感が残ることがありますが自然に回復します。

治療間隔・期間

1ヶ月〜1ヶ月半に1回

薄毛の程度によりますが、多くは1クール3〜5回を要します。

発毛が得られた後も、加齢性変化に伴い毛髪は減少するため、維持療法として 半年に1回、または2〜5年に1クールを行うことが多いですが、若年で治療を行った場合は追加療法なしで長期に維持される方もいらっしゃいます。

当院の患者様から聞かれた声（効果の感じ方）

• 毛髪が太くなり、ハリが出た
• 抜け毛が減り毛髪の伸びる速さが早くなった
• 毛髪の根元が立ち上がってヘアスタイルを作りやすくなった
• 分け目の地肌が透けなくなった
• 海に行って水に入っても、ぺったりせず水泳が怖くなくなった

多くの場合、失われていた自信を取り戻していただけることが多く、PRPによる発毛治療は、安全性の高い患者様の満足度の高い治療です。

PRP治療は再生医療第3種として、厚生労働省に登録し承認された医療機関でのみ行える治療です。当院も承認医療機関として、治療をおこなっております。また、患者様の頭皮の状態によりPRP以外の選択肢もご準備しております。

薄毛でお悩みの患者さま方のお役に立てる事を願っております。