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再生医療に期待される国民医療費と薬剤費の削減
投稿日:2023年9月16日
更新日:2023年9月29日カテゴリー:超高齢社会
現在、日本の人口は約1億2000万人です。そのうち、65歳以上の人口は約3600万人となっており、総人口に占める割合は、約29%となっています。また、75歳以上の人口は約1900万人で、総人口に占める割合は約15%となっています。
これらの数字からも分かるように、日本の3人に1人が、65歳以上の高齢者であり、日本は超高齢社会となっています。
社会保障費は年々高額となっており、皆さんの周りでも、「将来、もらえる年金が減るかも知れない」などと耳にしたことがあるかも知れません。
しかし、その他にも問題は山積されています。
その中のひとつである、「国民医療費」と「薬剤費」について、再生医療がどのような期待がなされているかについてお話しできればと思います。
これは、私たちが再生医療サーチを立ち上げた目的のひとつともなっている、非常に重要なことでもあります。
重くのしかかる社会保障費
社会保障費の財源というのは、もちろん公費や資源収入などもありますが、皆さんが支払う社会保険料が大きな割合を占めています。(公費も税金という話をすると、今回のテーマから脱線していきそうなので割愛します)
日本という国を、大きな家庭に例えるならば、収入のあるお父さんお母さん、お兄ちゃんお姉ちゃんが、稼いできたお金を家に入れてくれなければ、収入のないおじいちゃんおばあちゃんや、小さな弟や妹は食べていけません。
しかも、この日本という家庭はみんな長生きで、どんどんおじいちゃんおばあちゃんが増えています。例えるならば、おじいちゃんおばあちゃんは、ひいおじいちゃんひいおばあちゃんとなって、お父さんお母さんも、引退しておじいちゃんおばあちゃんになって、お兄ちゃんお姉ちゃんの収入のみで、家族全員が食べていかなければなりません。
収入は減るのに、支出は減らない。むしろ増えていくくらいです。
そうなれば、お兄ちゃんお姉ちゃんが、家に入れるお金を増やしてもらうほかありません。
前提として、今の日本は、このように若者1人で2~3人のおじいちゃんおばあちゃんを支えています。
さらに、全員がピンピン元気に過ごしていればいいのですが、おじいちゃんおばあちゃんになれば、膝が痛くて病院に通っていたり、お薬を飲んでいたりするでしょう。これが、医療費と薬剤費です。
医療費に関しては、国民全体で約44兆円、そのうち65歳以上が26兆円で全体の約62%を占めています。
そのうち約22%にあたる約9.6兆円が薬剤費となっています。(薬剤費の削減には残薬に対する取り組みも検討されています)
人生100年時代ともいわれている今、再生医療によって通院回数が減り、社会保障費の中でも、大きな割合を占める国民医療費や薬剤費の削減が期待されているのです。
再生医療への期待
現在、再生医療は、ガンや糖尿病、変形性膝関節症、アルツハイマー型認知症など、様々な症例に対しての研究が進んでいます。
国民医療費を傷病分類別にみると、循環器系が約6兆円、ガンなどが約4兆円となっています。
ガンは、国民病ともいわれており、2人に1人が罹患する可能性のある病気です。様々な治療や薬が開発されていますが、有名なところですと、京都大学の本庶佑教授がノーベル賞を受賞した、オプシーボ®などがありますが、薬剤費が3000万円を超え、約2兆円にものぼる薬剤費がかかっているともいわれています。
糖尿病に関しては、予備軍を含めると2000万人を超えておりまして、一度発症すると治癒することはなく、様々な合併症を併発します。重度の糖尿病になると、腎不全を発症し、人工透析が必要となります。週3回、1回4時間もの時間がかかり、食事や生活もかなり制限されますが、それだけでなく、1人あたり年間500万円以上もかかり、国民医療費のうち約1,5兆円を占めています。
変形性膝関節症も、50歳以上の2人に1人、アルツハイマー型認知症をはじめとする認知症も5人に1人の割合で患っているともいわれており、治療に長い期間と費用を要しています。
これら様々な疾病に対して、再生医療を用いて、治療や改善、または予防をすることによって、係る費用が大きく削減されることが期待されています。
再生医療の産業化に関しては、越えるべき障壁はまだ多くありますが、再生医療の普及によって、社会保障費の中でも、大きな割合を占める国民医療費が、少しでも削減することに寄与できればと思い、私たちは再生医療サーチを立ち上げました。
再生医療サーチが、国民医療費の削減だけでなく、皆さまのQOLの向上に寄与できれば幸いです。
コラムの監修者
再生医療サーチ編集部