再生医療の種類・治療費用一覧
更新日:2024年12月3日
再生医療に関する意識調査
再生医療Searchを運営する株式会社マインドシェアでは、一般の方々に対して、再生医療に関する意識調査を実施致しました。(https://www.mindshare.co.jp/news/5221/)
結果から申し上げますと、再生医療に期待している方が非常に多いことがわかる結果となりました。
また、多くの方が「費用」に関して懸念を持っていることが明確に示されました。
再生医療は、認可を受けた医療機関でしか提供できず、重篤な症状の患者さまや、スポーツ選手やセレブが受けられる特別な治療というイメージが先行していることが要因かも知れません。
現在は、ほとんどが保険適用ではないので、風邪などで病院に行くよりは、高額な費用が必要となってきます。
今回は、再生医療を受ける際に、どれくらいの費用がかかるのかについて、ご説明できればと思います。
再生医療の種類に関して
再生医療で用いられる治療では、いくつかの種類があります。
血液から血小板を凝縮させたものを使用する治療(PRP治療)、脂肪などから採取した体性幹細胞を培養して用いる治療(幹細胞治療)、皮膚から採取した繊維芽細胞を培養して移植するもの(繊維芽細胞療法)、ガンなどに対してNK細胞などを用いるもの(免疫療法)などがあります。
その他、iPS細胞やES細胞を用いる研究も進んでいますが、まだ研究段階ですので、今回は割愛させていただきます。
例えば、PRP療法ですと、患者さまから採血をし、遠心分離ができる専用の機械によって、血小板のみを凝縮し、それを患部に注射などの方法で投与します。これは、遠心分離機など専用の機材を設置できれば、既存の設備から大きく変更することなく提供することができることもあり、数十万円で治療を受けることができます。
幹細胞や線維芽細胞を用いる治療に関しては、細胞を培養するコストが高く、治療にかかる費用も数百万と高額になります。細胞培養は、種となる細胞を育てるために、土となる培地が必要ですが、この培地も安くありません。また、細胞を培養する際には、手順や安全性の確認のためにスタッフも多く必要になりますので、人件費も高くなります。さらに、細胞培養加工施設(CPC)という認可を受けた設備が必要です。この細胞培養加工施設は、厳格な基準が設けられており、無菌環境を維持するための空調設備や、外から菌や塵が入り込まないための導線を確保するための広大なスペースも必要です。これらによって、細胞を培養するのは非常に高額な費用が必要なため、治療費も高額となります。
また、免疫療法に用いる細胞に関しては、患者さまから採血を行ないαβT細胞や、γδT細胞、NK細胞などの細胞を取り出して、細胞培養加工施設(CPC)で培養されます。
先ほどの幹細胞の際とは、培養技法や用いる培地などが違うため、免疫療法は数十万円で治療を受けられます。
再生医療は、インプラントのように1回で終わるものもあれば、定期的に継続することが望ましいものもあります。そこで、幹細胞を培養した際に産生される、培養上清を用いる治療を併用している医療機関も多くあります。この培養上清中には、成長因子やサイトカイン、エクソソームなど有効なものが多く含まれており、細胞培養の際の副産物であることもあり、数万円で治療を受けることができます。
再生医療の治療費
治療内容ごとに、再生医療の相場についてまとめてみました。
治療名 | 費用の相場 |
---|---|
自家多血小板血漿(PRP)による変形性関節症治療 | 100,000円~500,000円 |
自己脂肪由来幹細胞を用いた変形性関節症の治療 | 1,000,000円~2,500,000円 |
自己脂肪由来幹細胞を用いた肝障害・肝硬変の治療 | 1,000,000円~2,000,000円 |
多血小板血漿(PRP)による角膜疾患に対する組織修復 | 150,000円~200,000円 |
自己脂肪組織由来間葉系幹細胞投与による糖尿病の治療 | 2,500,000円~3,500,000円 |
インプラント治療における自家多血小板血漿(PRP)を用いた口腔内の軟・硬組織の修復 | 100,000円~300,000円(※インプラント費用に含まれる場合もあり) |
自己多血小板血漿(PRP)を用いた老化した皮膚(しみ、しわ、たるみ、にきび跡)の再生療法 | 100,000円~300,000円 |
悪性腫瘍に対する免疫細胞治療(NK細胞、γδT細胞、αβT細胞、BAK療法など) | 150,000円~2,500,000円(投与回数による) |
脂肪組織由来再生(幹)細胞 (Adipose Derived Regenerative Cells)を用いた豊胸術 | 1,5000,000円~2,000,000円 |
不妊症に対する自家多血小板血漿(PRP)を用いた不妊治療 | 150,000円~300,000円 |
不妊症に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療 | 1,5000,000円 |
(アルツハイマー型)認知症に対する脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた治療 | 2,000,000円 |
自己脂肪由来間葉系幹細胞を用いたアトピー性皮膚炎の治療 | 1,500,000円~3,000,000円 |
脂肪由来間葉系幹細胞を用いた脳卒中・脳梗塞の後遺症治療 | 1,500,000円~2,500,000円 |
神経変性疾患に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療 | 1,000,000円~2,000,000円 |
⾃家多⾎⼩板⾎漿(PRP)を⽤いた毛髪再生治療 | 300,000円 |
インプラントなど、治療自体の費用に含まれているものは、無料で提供されている場合もあります。また、同じ治療法でも、細胞培養加工施設ごとに用いる培地などの材料などが異なることや、培養する細胞の種類、個数によっても患者さまに提供する際の費用が変わってくる場合もあります。
再生医療は、まだまだ高額な治療が多くありますが、既存の治療法よりも高い効果を得られる可能性が期待されています。また、早めに再生医療を受けることで、将来QOLが上がる可能性や、通院の回数が少なく済む可能性が高まり、生涯でかかる医療費が安く可能性もあります。
今回の調査結果でも、20代30代の方々が、比較的再生医療を身近に感じており、既に再生医療を受けた方も予想以上に多くいらっしゃいました。
ボーナスが出たタイミングや、節約を重ねることで、受けられる再生医療もあるかと思いますので、今回の相場に関する内容が皆様の参考になれば幸いです。
また、私たちは、再生医療が身近な治療選択肢となるように、再生医療の普及活動だけでなく、今後も様々な調査を実施し、その結果を再生医療の発展に活かしていきたいと考えております。