• 歯周組織再生療法 – CGFを用いて骨の少ない方でも安全にインプラントができる

    投稿日:2023年2月6日
    更新日:2023年3月22日
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    CGF(Concentrated Growth Factors)とは?

    普段、私たちはケガをすると血管が破れ出血します、するとその血管の穴を埋めるために血液中の血液凝固因子が刺激されてフィブリンという物質が形成され、傷口を塞いでケガの部位の出血を止め傷の治りが促進されます。
    CGFは患者さん、施術を受けるご自身の血液を専用の遠心分離機にかけることで抽出されます。これは添加物を一切用いない完全自己血液由来の血小板や成長因子を多く含んだフィブリンゲルとなります。(効果時間をコントロールするためにクエン酸を用いる症例もあります。)

    CGFの3つの特徴

    1. 成長因子を非常に多く含む血小板がさらに濃縮されているため、骨の少ない場所に使用すると再生が早まる。
    2. 抜歯箇所の止血や保護、感染防止などに役立つ。
    3. ご自身の血液だけで作製できるので、感染症、拒絶反応やアレルギーなどが出にくい。

    CGFは、損傷された組織の再生・治癒に働く「成長因子」を多く含んだ血小板がさらに濃縮されているもので、以下の利点があります。CGFは自己血を遠心分離して得られる多増殖因子血漿であり、組織の治癒と再生を促進するための「増殖因子」と「足場となるフィブリン」を得ることができます。

    1回の遠心分離(13分)で 「フィブリンとしてのF1」と 「増殖因子を多く含むF2」に分離し、F1フィブリンは単体としてメンブレンやクロット状(血液の固まり状)に作成し再生医療時の足場として使用されます。F2 増殖因子は液体のまま滴下や注入に使用したり、骨移植材と混和しゲル化させ骨欠損などに填入したりすることができます。

    凝固によって血小板はフィブリンとともに縮合し一塊のクロットとなります。その際、血小板自体が破裂し(脱顆粒)、増殖因子は約10分程度で血小板から遊離、フィブリン周囲の液体中に流れ出すことになります。

    凝固によって血小板はフィブリンとともに縮合し一塊のクロットとなる

    そのため、血小板内の増殖因子を骨再生に応用する場合には凝固が始まって10分以内に体内の骨欠損などに填入する必要があります、長時間経過したフィブリンのなかには破裂した血小板が残るだけで増殖因子は存在しなくなります。

    これを防ぐためにCGFを作成する際に採血時の抗凝固剤としてクエン酸を使用することで、血液が凝固を開始し血小板から増殖因子が逸脱することを避けることが可能となります。そのことにより生体に使用する直前の最適なタイミングで凝固させ活性化を開始させることになります。

    このように凝固をコントロールすることで増殖因子を有効に応用させることが可能となり、使用するタイミングは術者側が決めることができる様になります。

    CGF作成のプロトコール(手順)

    次にCGF作成のプロトコール(手順)を紹介します。

    1. 血液を採取

    手術前に患者さんの血液を採取し、CGF(完全自己血液由来フィブリンゲル)を作ります。このCGFは、他の骨補填剤と違って、何よりも完全自己血液なので感染症についても心配が無く、安心度が高い治療法となります。

    手術前に患者さんの血液を採取し、CGF(完全自己血液由来フィブリンゲル)を作ります

    採血後、すぐに遠心分離機「メディフュージ」にセットします。

    すぐに遠心分離機「メディフュージ」にセット

    2.CGFを作製

    遠心分離を開始

    スタートボタンを押し、遠心分離を開始し、CGFを作製します。13分間の遠心分離により、赤血球が分離されるとともに成長因子や血小板を多く含むCGFが形成されます。

    遠心分離後の様子
    遠心分離後の様子

    遠心分離開始から13分間で血液中の血小板や赤血球が分離されフィブリンゲルが作製されます。

    上層黄色の部分がCGF
    上層黄色の部分がCGF

    3.採取されたフィブリンゲル

    血液中の赤血球などが分離され、同時に凝固因子が自然に刺激されて、添加物を一切含まないフィブリンゲル(CGF)が形成されます。

    自然なフィブリンの網目構造が形成されるので、非常に強いゲルになります。潰してメンブレン状にすれば、縫いつけることも可能です。

    骨充填剤(人工骨)と混ぜて使用
    骨充填剤(人工骨)と混ぜて使用


    CGFの使用法は骨を増やしたい場所に、骨充填剤(人工骨)と混ぜて使用することで、傷の治りを早くします。また、骨誘導再生法(GBR)を行う際の、骨造成を誘導するための膜として使用することが可能です。

    完全自己血液由来フィブリノーゲン AFG(Autologous Fibrinogen Glue)

    C G F作製と全く同じプロトコールにて遠心分離に使用するガラス試験管をプラスチック試験管を用いることによりAFGが作製できます。
    凝固因子を刺激せず遠心することで得られた血漿AFGを、骨補填剤などに混ぜることで安定性と賦形性に富んだ骨補填剤が作製されます。

    C G F・A G F使用症例

    前歯4本の抜歯部位に対し両脇に人工歯根(インプラント)を埋入し、C G Fを作成し、メンブレンとして使用。A G Fを作成しβ-TCP(人工骨)に混ぜ(下写真)一塊として抜歯部位、骨欠損部位に充填、その上部にC G Fメンブレンを乗せ、仮歯を装着し2ヶ月後粘膜、骨の再生を確認し、上部構造となる冠を装着しました。

    C G F
    C G F
    A G F+β-TCP
    A G F+β-TCP
    抜歯時
    抜歯時
    CGF使用の施術時、仮歯の装着
    CGF使用の施術時、仮歯の装着
    2ヶ月後の周囲組織安定
    2ヶ月後の周囲組織安定


    頬側にボリュームのある組織が作られています。

    最終補綴物となる冠の装着
    最終補綴物となる冠の装着

    ※C G Fを用いることにより、施術後の腫脹や疼痛も全くなく、造成された骨と周囲組織も減弱することなく良好な結果と経過を得ることができております。

    術前レントゲン
    術前レントゲン
    術後レントゲン
    術後レントゲン