インプラント治療のための再生療法
更新日:2022年5月2日
インプラントってどんな治療?
歯周病や虫歯が原因で失ってしまった歯を補う治療(以下 補綴治療)として主に義歯、ブリッジ、インプラントの3種類が挙げられます。
義歯やブリッジは健康保険制度の適用内で治療を受けられるので、治療費負担額が安価になるというメリットがあります。しかし、残っている歯を支えにする必要があるため、健康な歯をたくさん削り、支えにする歯の寿命が短くなることや、金属やプラスチック樹脂など、虫歯になりやすく、アレルギーなど体に影響が出やすい材料を使うという大きなデメリットもあります。
最近の研究では義歯やブリッジを入れた患者さんの口の中で、支えにした歯の30%以上が10年後には抜歯になってしまうという報告もあります。
健康保険制度は日本国憲法第25条に基づいて作られていて、全国どこでも誰でも安価に最低限の治療は受けることができます。しかし裏を返せば、病気の状態を脱することだけを考えているので、長期的な歯の寿命や再発のリスクはあまり考えられていません。そのため、1本の抜けた歯を治療したことで数年後には周りの歯を失うことも少なくありません。
そういった側面から、近年は補綴治療としてインプラントが一般的な方法になりつつあります。健康保険適用ではないため治療費負担額は高額ですが、周りの歯を削らず負担もかけず、固定式のキレイな歯でしっかり噛めるという大きなメリットがあります。日本国内でのインプラント手術件数は年間数十万件と言われていて、多くの患者さんが噛める喜びを取り戻しています。
インプラント治療に必要なことは
インプラント治療とは歯を支える歯ぐきの骨(以下 歯槽骨)の中にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に歯の被せ物(以下 上部構造)を装着する治療です。
インプラント治療を行う上で重要になるのが、この歯槽骨が十分にあるかどうかということです。十分な量の歯槽骨や歯ぐきがない場合、そのままインプラント治療を行うと、インプラントが歯ぐきから露出してしまったり、インプラントが失われる原因となります。そのため、インプラント治療を行う前に
C T画像という3次元的に歯槽骨の状態を診断するためのレントゲン画像を用いて、しっかりと診査・診断をします。
仮に、歯槽骨の量が足りない場合は骨造成術や歯肉造成術といった手術を併用します。骨造成術にはG B R手術やサイナスリフトなどがあり、主治医が部位や状態に適した方法を選択し手術を行います。
難症例を可能にする骨造成術とは
青い矢印の部分は歯ぐきが痩せて、凹んでしまっています。凹みの部分に骨の再生を促す材料を詰めて歯ぐきの形を再生させています。
上顎の奥歯にインプラント治療を行う場合、上顎洞という鼻腔と繋がる空洞が近いため、そのままではインプラント治療が難しい場合があります。その場合はサイナスリフトという手術を併用して、十分な骨を造り出してからインプラント手術を行います。
骨造成術には専門的な知識と技術や豊富な経験が必要であり、手術を行える歯科医院や歯科医師は限られています。
当院では骨造成術やサイナスリフトに加え、インプラント手術に必要なほぼ全ての外科的治療を院内で行っています。外科的処置を日常的に行っており、他院から紹介される症例も多いので、他の歯科医院で手術ができないと言われてしまった患者さんでも、ほとんどの場合は問題なくインプラント治療を行
えています。
前述の通り、インプラント治療は他の治療法に比べてしっかり噛むことや歯の寿命が延びることなどの恩恵はとても多く、素晴らしい治療だと言えます。
医療は日々進歩しているので、一度は手術ができないと言われ諦めてしまった方も、もう一度、専門的な治療を行なっている歯科医院へ相談されてはいかがでしょうか。