• 顎顔面口腔領域における硬軟組織の再生および止血促進のために用いられる多増殖因子血漿内因子再生療法

    投稿日:2023年2月20日
    更新日:2024年11月5日
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    このコラムを読んでいただいてありがとうございます。長いタイトルと難しい言葉が並んでいるので興味を持たれただけで大変ありがたいのと同時に、再生医療についてお勉強されている事は素晴らしい事だと思います。さて、今回お話しさせていただきますのは、歯科治療(特にインプラント治療)においての再生医療についてのご紹介です。私がこの治療に出会ってから、インプラント治療の結果に大きく変化が起きました。

    治療の名称:顎顔面口腔領域PRGF‐Endoret療法

    顎顔面口腔領域における硬軟組織の再生および止血促進のために用いられる多増殖因子血漿内因子再生療法(顎顔面口腔領域PRGF‐Endoret療法)

    PRGF – Endoret療法の特徴

    PRGF – Endoret療法は15年以上の歴史を持つ再生医療であり、医療や科学の現場おいて様々な用途で使用されている。

    PRGF – Endoret療法のやり方は、容易に実現可能であり、安心で安全で有効な100%生体適合性のある技術を供給している。

    以下の特徴をもった卓越した再生医療技術である。数多くの論文により効果が認められており、基礎〜臨床と幅広く研究が行われている。また世界一流の研究者・臨床医とのコラボレーションが実績として存在する。

    以下の特徴をもった器具で加工している。

    1. 世界37ヵ国の特許を得ている
    2. FDA(米国)の認可を得ている
    3. European Health AuthoritiesにおいてCE(欧州)認証を取得している

    この治療は、どこでも誰でもできる治療法ではありません。厚生労働省の高度再生医療提供計画番号がないとできません。ちなみに、当院の提供計画番号はこちらです→PC3200169

    私たちの体には、傷ついてしまった体を自分の力で治す仕組みがあります。所謂、「再生」という力です。例えば、机の足に、小指をぶつけた時。ジンジン痛いけど、そのうち治りますよね。事故で骨折はどうでしょうか?とんでもない痛みと腫れがありますが、治療がうまくいけば数ヶ月で元に戻りますよね。

    ですが、再生しない部分もあります。心臓や脳、主要臓器でも再生できない部分があります。歯もそうですね、子供の歯は生え変わりますが大人の歯は生え変わることはありませんし、削ったり神経を取った歯は劣化して悪くなる一方通行の状態です。

    今回の治療法は、主に骨がなくなってしまったところの再生を加速させる治療法なのです。例えば、歯を抜いたところは数年経てば骨が再生してきます。しかし歯がない状態を数年継続することでも種々の問題が生じてきます(歯が倒れてきたり、噛み合わせが狂ってきたり)。そして、歯がないところに歯を作るインプラント治療はすぐに噛めるようになるわけではありません。4ヵ月から6ヵ月骨とつくまでそっとしておく必要があります。

    そこで、体に本来備わっている再生機能を応用する方法がPRGF–Endoret療法です。血液中に含まれる成長タンパク質を抽出し、濃縮した状態で術野に使用します。術野には再生に必要な材料が血液中に存在するため、血液の補充が最優先です。そこから、細胞が分化という変化で必要な材料に変わっていきます。

    PRGF–Endoret療法は、その細胞を直接再生が必要な場所においてくるため、とても早いスピードの治療が可能なのです。

    それはなぜか?

    理由1:再生に使われるのは、自分の細胞であること

    理由2:血液中の細胞が変化するのを待たずに再生が始められること

    理由3:再生に必要な材料を濃縮することができる

    従来の骨を再生する方法では、ヒト由来の材料ではなくブタやウマ、ウシなど多種生物より作られた材料を用いることが一般的です。もちろん日本の法律で認可された材料ですので安全です。ですが、何より自分の細胞の方が良いというのは自明の理。過去には自家骨といって自分の骨を腰骨や顎の一部を採取して骨の再生が必要な部分に補填するという方法がありました。

    しかしながら、骨を採取する側の傷の侵襲が大きく一般的ではありませんでした。そこで、自分の骨ではなく骨を再生するために必要な成分、つまり成長タンパク質を応用できないかという研究の元開発されたのが血液中にある成分を抽出することでした。様々な方法が開発され現在も臨床では応用されています。

    PRGF-Endoret療法の歴史と実績

    その中でもPRGF Endret療法は血小板を2倍に濃縮することでより濃度の高い成長タンパク質を再生部位に適用することができます。この方法は、スペインの博士により開発され海外では15年以上臨床で活用されています。国内では10年以上の歴史があり、現在までに1万件以上の実績、年間2千件のペースで行われております。国外では、日本の8倍以上の実施件数があると言われております。骨の再生のみならず、皮膚や粘膜の再生にもとても効果的です。

    治療方法:採血から濃縮までの流れ

    最初に採血が必要になります。採血方法は、献血や健康診断などで行われる採血と同じ手順で行います。再生が必要な量によって異なりますが、採血管2本〜4本程度の血液を摂らせていただきます。

    その後、“特殊”な遠心分離機器にて成分を分離させます。分離した血液は血漿部分と血球部分に分かれます。成長たんぱく質が含まれる血小板は血漿部分に含まれています。

    そして特殊と言うのは、血球成分を含まずに、血小板を濃縮できるように適切に分離抽出が可能な技術です。他にも血液中の成分を抽出する方法はありますが、血小板が壊れてしまい、内部にある成長たんぱく質が流れ出てしまったり、濃縮されていなかったりなど精製される状態が異なる状況があります。

    PRGF-Endoret療法は、この点が非常に優れており、血小板の状態を傷つけることなく抽出できることが可能です。つまり、再生させたい部分に効率よく濃度の高い成長たんぱく質を与えることができるのです。これにより治したい部分に材料が整うことにより早い治癒が期待できるのです。

    治療の効果:早期治癒と感染リスクの軽減

    この治療の効果として、わかりやすい部分で言うと歯肉の傷の治りがとても早いです。歯肉のような粘膜は、通常2週間ほどでターンオーバーという再生が完了します。手術後の粘膜の治癒は、早く治ることに越したことはありません。傷口の治りが遅ければ、感染するリスクが高まるからです。

    PRGF Endoret療法には、成長タンパク質の材料のほかに、フィブリンと言われる「カサブタ」になってくれる材料にも加工することが可能です。このフィブリンを薄くして、「フィブリンメンブレン」として粘膜の中においてあげることで、歯肉の治癒速度を格段に向上させることができます。

    上部自己由来フィブリン
    フラクション1(F1)と呼ぶ
    フィブリンメンブレンとして、創傷保護及び止血効果を有し、
    治癒を促進する
    下部PRGF(多増殖因子血漿)
    フラクション2(F2)と呼ぶ
    通常の血液の約2倍の無傷濃縮血漿を含む。
    血小板内部に保有する増殖因子の働きにより、組織再生を加速させる。

    まとめ

    この治療法が適している方:インプラントに必要な骨がない方

    私が考えるに、インプラント治療において「骨がないから治療ができない」などの理由によりインプラント治療の選択肢を諦めなければならない状況にある方におすすめする治療法です。再生治療と併用することで、不可能を可能にできる。治療を諦める前に、再生治療について知っていただくことで噛める喜びを手に入れることができます。

    当院では、お昼の無料相談を実施しております。ご興味ある方はお気軽にお問い合わせください。