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    歯科医院で行われている再生療法:歯周組織再生療法、歯髄再生療法、PRP療法
    投稿日:2022年3月18日
    更新日:2022年5月2日

    以前、当院で行われていた歯周病の治療は他の歯科医院と同様に歯ブラシ指導をして歯石取りを行っていました。

    ただ、かなり歯がぐらぐらしていた場合や歯茎から排膿がある場合は抜歯を提案したり、全顎的に重度な歯周病の場合には歯周病科のある専門的な大学病院を紹介してきました。

    多くの患者さんが出来るだけ自分の歯を残したいというのは自然の流れだと思います。そこで、何とか歯を残せないか?ということで歯科大学を卒業して10年以上経過していたが、一から歯周病の治療を再度勉強しようと歯周病専門の研修施設に通い始めました。

    そこでは、歯周病の基本的な考え方であったり治療手技を学ぶことが出来ました。ある先生は、当時の自分の技術であれば、当然抜歯するであろう歯を見事に長期に渡って保存することを成功させていました。

    その先生方に感銘をうけて自分も出来るだけ歯を残そうと考えるようになり積極的に歯周組織再生療法を行うようになりました。

    実際、再生療法を行うとぐらぐらしていた歯の動きが抑えられるようになり患者さんから美味しく食事が出来るようになったと笑顔が見られるようになり自分の臨床の自信にもつながりました。当院の治療の主軸は歯周病の治療を積極的に行い出来るだけ歯を保存すること。

    そして、残念ながら抜歯をした場合でも、インプラント治療にPRP(多血小板材料)療法を応用し顎堤を保存し元の状態に戻そうとする考え方で行っています。

    今、実際の歯科医院で行われている再生療法について

    実際の歯科医院で行われている再生療法は以下のものが挙げられます。

    1. 歯周組織再生療法
    2. 歯髄再生療法
    3. PRP療法(インプラント治療併用)

    それぞれ見ていきたいと思います。

    歯周組織再生療法

    歯周組織再生療法は失われた歯肉、歯槽骨、歯根膜、セメント質を含む歯周組織を再生させる治療で、歯周治療の究極のゴールと言われています。(図1)。

    (図1エムドレイン症例)図1:左:術前、レントゲン写真で右側のへっこみがみられる。 真ん中:手術中の口腔内写真 右:術後2年経過(EMDを応用)骨のへっこみが改善している。

    現在、日本において用いられているものとしては骨移植術、歯周組織再生誘導法(GTR法)、エナメルマトリックスデイバティブ(EMD)を応用した手術法、その他の生物学的生理活性物質を応用した手術法に分類されています。

    (A)エナメルマトリックスデリバティブ(EMD:エムドゲイン、)エナメルマトリックスデリバティブは1997年に発表され、製品名エムドゲインとして発売されています。エムドゲインは、ブタの歯胚から抽出したEMDとアルギン酸プロピレングリコール(PGA)を担体として使用する薬剤です。EMDが日本のみならず世界で普及している理由は、歴史も長く組織再生誘導法(GTR法)に比べて操作性が簡易で歯肉退縮などの副作用が小さいためでもあります。

    日本では骨内欠損が適用とされているが海外では根分岐部病変、歯肉退縮の根面被覆の応用、歯周病のみならずインプラント治療の骨再生治療の応用にも報告がされています。(図1実際の症例)

    (症例概要)わかば歯科(当院での治療):症状は歯周病で前歯がぐらぐらしているということで来院され、出来るだけ歯を保存(抜かないで治療したいとの希望)したいということで、歯周組織再生療法(エムドゲイン)を行い、歯を保存することができ患者さんの満足が得られました。

    (B)リグロス:リグロスは2016年9月に歯周組織再生医薬品として国内製造販売承認を取得しました。組換え型ヒトβFGF(塩基性繊維芽細胞成長因子、FGF-2)を有効成分としている薬剤です。FGF-2には細胞増殖及び血管新生を促進する作用があるため、医科の分野では褥瘡・皮膚潰瘍治療薬として使用されてきた。さらに、骨折に応用する臨床試験も行われ、有効性が示されています。

    歯科領域では歯周組織再生薬として大阪大学により研究が行われ、動物実験のみならず国内の臨床試験で歯周病による垂直性の骨欠損に対して新生歯槽骨の増加が認められました。

    今、歯科医療保険診療で骨移植術、GTR法、リグロスが保険適用となっています。

    実際の当院のリグロスの症例(図2)

    症状は、右下の奥歯が噛むと違和感があるということで来院され、右下の奥歯が重度の歯周病で歯周病の治療後にリグロスを用いた歯周組織再生療法を行ったことで歯周病が改善ししっかり噛むことが出来るようになりました。

    (図2)

    (C) 歯周組織再生療法における治療法のまとめ

    1. 骨移植術 自家骨、異種骨、人工骨(HA,β―TCP)
    2. 組織再生誘導法(GTR法) 吸収性メンブレン(コラーゲン)
    3. エナメルマトリックスデリバティブ(EMD)を応用した手術法
    4. その他の生物的生理活性物質を応用した手術法
      1. 塩基性繊維芽細胞増殖因子(rhFGF-2:リグロス)
      2. 多血小板血漿療法(PRP療法)

    歯髄再生療法

    2020年に開始した歯髄再生治療は、親知らずや矯正治療で不要となった抜去歯から歯髄を採取し、その中に含まれる歯髄幹細胞を培養増殖し、虫歯で歯の神経を喪失した歯に移植することにより歯髄を再生させるものであり、一部の歯科医院で治療が開始されています。

    PRP、PRF(多血小板材料)を応用した口腔再生療法

    元大リーグ、現楽天イーグルスの田中将大選手が右肘靭帯の部分断裂を受け、PRP療法を受けて、僅か2か月半後に戦列復帰を果たしました。今、現在PRP療法は整形外科や皮膚科をはじめとして様々な医療分野で活用されています。

    歯科治療では抜歯時の疼痛緩和や歯周外科治療の併用、インプラント治療の併用に使用されることが多くあります。 

    当院での実際の症例:歯が折れ、ほとんど歯質がなく患者と相談の上、抜歯することになりました。出来るだけ、自分の歯を削りたくないということでインプラント治療を行うことで同意を得た後、痛みを最小限にするため、採血後、遠心分離機で血液からつくられる

    血小板、フィブリンが含まれたゲル状の素材を取り出し人工骨を混ぜ添加しました。その結果、下の写真の通りインプラントと天然歯が見分けがつかないようになり、患者の満足度が得られました。

    上段左から、抜歯前、抜歯、インプラント治療時、下段:3年3カ月経過時のそれぞれの口腔内写真

    歯科も医科同様、医療の進歩が進み以前では歯の神経を取ったり抜歯をする必要な歯でも再生療法で歯の神経や歯そのものを保存する可能性が出てきました。

    また、仮に歯を抜歯してもインプラント治療で自分の歯と遜色ないレベルにまでもっていくことも期待できます。

    それでも、それ以前に身体、心の健康とともに口腔の健康を予防し維持することがなによりも大事であると考えています。

    8020推進財団によれば、歯を失う原因は、喪失原因の多い順に1:歯周病 2:う蝕(虫歯)3:破折 となっています。

    平成28年歯科疾患実態調査によると4ミリ以上の歯周ポケット(歯周病に罹患している状態であると考えられる)を有する者の割合は50歳以上では約半数を超えており、60歳以降に急速に歯を失う傾向にあることから、口腔の健康を維持、増進させるためには、歯周病の予防と治療は不可欠と言っても過言ではありません。

    参考文献

    • 多血小板材料(PRP・PRF)を応用した口腔再生療法 監著:川瀬知之、奥寺元他 永末書店
    • 歯周外科基本テクニック 著:和泉雄一、小田茂他 医歯薬出版(株)

    コラムの監修者

    公園都市プラザわかば歯科
    大八木 章好

    当院は患者さまの5年後、10年後を考え、長期的な視点でいくつかの治療方法をご提案します。その中から、患者さまご自身が良いと思うものをお選びください。歯のことや治療方法について疑問があれば、いつでもお聞きいただければと思います。
    • コラムの監修者

      公園都市プラザわかば歯科
      大八木 章好

      当院は患者さまの5年後、10年後を考え、長期的な視点でいくつかの治療方法をご提案します。その中から、患者さまご自身が良いと思うものをお選びください。歯のことや治療方法について疑問があれば、いつでもお聞きいただければと思います。