再生医療の安全性確保と普及に向けての取り組み
更新日:2024年12月3日
再生医療を安全に提供するために
再生医療という言葉自体はご存じの方も多いかと思いますが、その詳細についてはまだ知られていない部分も多いのではないでしょうか。当サイトでは、再生医療の普及だけでなく、一般の方々が求める情報を提供できるよう、市場調査を実施しております。その結果、「どこで再生医療を受けられるのか」「どんな治療なのか」「費用はいくらなのか」といった具体的な情報がまだ広まっていないことが分かりました。
そこで、再生医療をより広く、そして深く一般の方々に知っていただきたいという思いから、このサイトを立ち上げ、運営しております。今回は、再生医療について少し踏み込んだ業界内の取り組みについてお伝えしたいと思います。
安全性向上に対する取り組み
再生医療は、従来の投薬などの治療とは異なり、細胞や遺伝子を用いるため、再生医療を提供する医療機関や、細胞の加工を担う細胞培養加工施設は高い安全性の確保に努めています。
一般社団法人日本再生医療学会では、以下のような認定制度を設けています。
- 再生医療認定医:医療倫理を理解し、再生医療等の共通基盤となる細胞・組織、再生医療および関連する法的規制に関する知識を有する医師または歯科医師を認定します(※https://www.jsrm.jp/activity/certification/med/より一部抜粋)。
- 臨床培養士:再生医療等の共通基盤となる細胞・組織、再生医療および関連する法的規制に関する知識を有し、再生医療の実践を支える基本的な細胞培養技術に習熟した技術者を認定します(※https://www.jsrm.jp/activity/certification/cpo/より一部抜粋)。
- 上級臨床培養士:臨床培養士の認定を受けており、再生医療における細胞培養の基礎から応用を理論的に理解し、それを指導できる技術者を認定します(※https://www.jsrm.jp/activity/certification/acpo/より一部抜粋)。
- 細胞培養加工施設管理士:再生医療等の共通基盤となる細胞・組織、再生医療および関連する法的規制に関する知識を有し、再生医療に用いる細胞加工物の提供を支える細胞培養加工施設を設計・運用できる能力を有する者を認定します(※https://www.jsrm.jp/activity/certification/mmcpf/より一部抜粋)。
少し難しい表現も含まれていますが、これらの制度は再生医療を安全に患者さまに提供するための取り組みです。
再生医療はさまざまな研究が進んでおり、新たな情報や技術のアップデートが日々必要とされています。そのため、教材の提供や多数の講義、学会などが開催されています。
当サイトにも再生医療認定医に関する情報を掲載しておりますので、ご参考になれば幸いです。
細胞培養加工施設の安全性
幹細胞を培養する細胞培養加工施設においても、無菌環境での作業を徹底するため、空気中の微粒子数に至るまで厳格な基準が設けられています。虫などが施設内に侵入しないのはもちろん、大量のフィルターや空気の流れを制御することで、微粒子の侵入を極限まで防いでいます。
また、人の動線も一方通行に設計されており、異物の混入を防ぐために細心の注意が払われています。さらに、感染リスクを排除するため、作業ごとに除染が義務付けられており、その適正性を確認するチェック作業も必須です。細胞培養などの作業手順も厳格に定められています。
これらは、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)から示される膨大なチェックリストに基づいています。再生医療は「再生医療等安全性確保法」によって規制されており、さらに「医薬品医療機器等法」も適用されます。違反があれば、罰則が科されます。
再生医療の提供は許可制ではない
最後に、再生医療の提供について補足します。再生医療は厚生労働省の許可を受けて行うものではありません。ただし、「認定再生医療等委員会」による審査が必要です。
この審査では、治療内容、対象部位、その症状に対する効果の可能性、施術場所、方法、担当医師、細胞加工施設など、詳細な項目が審査されます。効果が見込めない施術や不適切な方法は審査を通過しません。厳正な審査を通過し、適正と判断された場合に、厚生労働省へ届け出がなされます。
細かな点ですが、厚生労働省からの許可や認可を受けているといった表現を見かけた場合は、注意が必要です。
今後も「再生医療サーチ」を通じて、再生医療について皆さまに知っていただくことで、再生医療が普及し、皆さまのQOL(生活の質)向上に寄与できることを願っております。